実際に購入してからだいぶ間が開いてしまいましたが、高効率16W-LEDバルブをバイクに取り付ける前の事前テストをしてみることにしました。
https://…/2014/09/29/ LEDウインカー用の市販LEDバルブがいろいろ進化している件
最近は市販で簡単に明るいLEDバルブが手に入るようになったのは嬉しいのですが、問題は電流値。
愛車のバイクVFR750F(RC36)のウインカー系統は、全て自作の回路に切り替えていて、ウインカーリレー回路も自作なのですが、LEDバルブに流れる電流をFETでスイッチングしている関係で、このFETの定格電流を超えないのかが問題。
じゃんじゃん電流を流して明るくしたいけれど、半導体スイッチの電流制限がある・・・・
なので事前に実験して、新16W-LED電流値を検証しておく必要があるのです。
まずは、現在使用している自作LEDバルブの場合の見た目の明るさ具合と、電流を測定しておきましょう。
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・自作のLEDバルブの点灯・・・・負荷電流は電圧にかかわらず一定で、0.25 A |
まぁ、それなりに明るく、そして電流は 0.25 A。一応バイクの使用状態ということで 13.8 V~14.2 Vで変化させて測定していますが、定電流ダイオードによる定電流制御により、電圧に影響せずに電流は安定しています。
電力に換算すると・・・・ 14 V×0.25 A=3.5 Wということになります。
では、新規購入した16W-LEDにしたらどうなるのか? 単純計算で電流は約4.5倍の 1.1 Aぐらいを叩きだしちゃうのかしら????
その前に、現在のウインカーリレーで許容される電流も求めておきましょう。
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・バイクに搭載しているウインカーリレーの回路図 |
自分でも回路図を見ないと中身を忘れちゃっているもので・・・・(爆)
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・2006年のウインカーリレー組立中の写真 中央に3つ並んでいる黒い部品がFET |
なるほど、ウインカー系統、ハザード系統、ポジション系統の3つをそれぞれFETで駆動しているのね。FETは、製作当時に(たしか)秋月電子でに置いてあった適度にドレイン電流が大きく取れ、パッケージが小型なやつとの理由だけで、2SJ173を選定。
この三系統ですが、駆動しているLEDバルブの数が違うんですよ・・・・
系統 | 駆動LEDバルブ数 | 使用シーン |
---|---|---|
ウインカー | フロント1+リア1=2 | ウインカー使用時のみ。左or右のどちらかの前後2バルブを点灯。 |
ハザード | フロント2+リア2=4 | ハザード使用時のみ。前後左右の4バルブを全て点灯。 |
ポジション | フロント2+リア0=2 | 通常走行中のほとんどの時間。フロントのみ左右2バルブを点灯。 |
ハザード使用時がもっとも高負荷。LEDバルブ4本を同時駆動して、約 1 Aの電流をスイッチング。FETの発熱が心配ですが、頻度が低いので救われています。
熱的にキツいのは、ポジションランプ使用時で、ツーリング中のほとんど全ての時間をスイッチオン状態で過ごすので、0.5 Aと電流は低くても発熱量は一番大きいと考えられます。
さて、FETの許容電流ですが・・・・
2SJ173のデータシートから、絶対最大定格ドレイン電流IDは・・・・
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・2SJ172 絶対最大定格のID欄 |
ID = -10 Aとなっています。
んっ!?余裕・・・・と思ってはいけません。絶対最大定格は、その名の通り絶対に越えてはならない一線で、若干余裕をもって設計しなければなりません。
同じくデータシートには、安全動作領域のグラフも記載されています。
ドレイン-ソース間電圧(VDS)に応じて流せる許容ドレイン電流を読みとります。
今回のウインカーリレー回路でのVDSは、バイクのバッテリー電圧そのもので、危険側に切り上げて -15 Vとして・・・・
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・2SJ172 安全動作領域 |
許容ドレイン電流IDは -3 A弱。VDSが大きいと余り大きな電流は流せないのね。
しかもこのグラフは、周辺温度が 25 ℃かつパッケージ温度が 25 ℃の場合。LEDウインカーリレーは、エンジンの近くに配置しているので当然もっと高い周辺温度なので、さらに許容電流が減少すると考えておいたほうが良さそうです。目安として -2.0 Aとしておきましょう。
そうすると、ワーストケースのハザード使用時に、現在のLEDバルブが2本残るのでそれらが 0.5 A。残り許容電流 1.5 Aを16WーLEDx2本で使うので、1本あたり0.75 Aか。
こりゃ~、厳しいな。
ちなみに、FETは放熱板なしで狭いスペースに詰め込んでいるので、熱的にも大丈夫か見ておきましょう。
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・2SJ172 導通状態の時のドレイン-ソース間抵抗値 RDS(on) |
ON状態時のドレイン-ソース間抵抗値の最大値は 0.18 Ω。(←ウインカーリレーでは、VGSはバッテリ電圧≒-14 V。なのでVGS=-10 Vの条件を採用。)
ということは、熱損失は Pch = ID2 RDS(on)より・・・・
ドレイン電流 ID | チャネル損失 Pch | 備考 |
---|---|---|
0.5 A | 0.045 W | 現在のウインカー・ポジションランプ使用状態 |
1.0 A | 0.180 W | 現在のハザード使用使用状態 |
1.5 A | 0.405 W | |
2.0 A | 0.720 W |
こんな感じ。ポジションランプ状態の時は 0.045 Wなので、ほとんど無視できちゃう値。
ちなみに、パッケージ温度許容値は・・・・
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・パッケージ温度毎の許容チャネル損失 |
ワースト側に切り上げて、Pch = 1 Wとした場合でも・・・・極めて 150 ℃に近い 148 ℃ぐらいかしら?
このぐらいの電力損失とパッケージ温度であれば、ヒートシンクなしでも何とかなっちゃうなぁ。さすがにここまで熱くなる前に熱が逃げてくれ、しかもハザード状態って長時間続かないし。
ここまで長かったですが、どうやら新しく購入した16W-LEDが、1本あたり 0.75 A以下であれば愛車のバイクVFR750F(RC36)の自作回路に無改造で取り付けることが出来そうです。
さぁ、点灯試験です・・・・
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・16W-LEDバルブの点灯試験 |
うぉっっっっ!!!!
超明るいっ!
写真は先ほどと同じように撮影しているのですが、新16W-LEDバルブが明るすぎて、カメラの露出調整が強く働き、辺りが真っ暗になってしまいます。
そして気になる電流値・・・・
ほへっ???
なんとなんと・・・・0.25 A!!(13.8 Vの時)
なんだよ~、自作LEDバルブと全く同じ値じゃん。これならそのまま置換できるぞ~!
今までの計算は何だったんだぁ~~~~
ちなみに、14.2 Vまで電圧を上げると、電流は減少して 0.23 A。おそらく私のバイクの通常状態がこの辺りなので、自作LEDバルブよりも低消費電力で、超絶明るいという結果に。
ところで、メーカーのいう『16W』ってどこから来た数字なのよ???
まぁ、明るいから良かったけれどね。
ちょっと胡散臭いこの16W-LEDバルブ、このままエージング試験として、2時間の連続点灯をしてみました。
途中、アルミフレームは素手で触れないほどの熱を発していて、放熱に気を使わなければならないようです。
とりあえず、バイク運転中に常時点灯するフロント側ではなく、ウインカー/ハザード時にしか点灯しないリア側に装着して長期試験を実施してみることにします。
それにしても・・・・、この明るさでこの価格(1本約¥1,500円)か。非常に安価だな。もう1セット買っておこうかと思ったら、在庫なし!次回入荷予定無しだって(泣)