バイク乗りにとって、ただただ耐える事しかできない梅雨の季節。
なのでバイク以外のことをするチャンスでもあるのよね。
さっそくバイク搭載のアマチュア無線とBluetooth短距離通信のパラレル運用改造を・・・・ではなくて、電車に乗って旅行に行くことに。
珍しいこともあるものですねぇ。
昨日の夜から雨が降り始めて今日の午前中までは雨の予報。だがバイク旅ではないので中止にする必要がないという感覚はなんか新鮮(笑)
日曜の早朝に自宅を出発し、やって来たのは東京の副都心『新宿駅』。
・新宿駅西口 |
なんと天気は快方に向かっていて、ここまで傘が不要なほど。素晴らしい!
この景色を見るのも見納めかも。小田急百貨店は一旦ぶち壊して再開発工事が始まるのだとか・・・・それに便乗したのか時を同じくして京王電鉄も再開発プランを発表。これから人口が減る時代に再開発か。うまくいくと良いけれど。
ここから小田急線の特急ロマンスカーに乗って箱根へ行きます。
・日曜の朝だからガランガランの小田急線新宿駅 |
ていうか箱根はオマケでロマンスカーに乗りに来た感じ?(笑)
残念ながら去年の3月で、ロマンスカー車内販売が廃止されてしまったのよね。本当ならば車内でアイスクリームを食べたかったのに・・・・(子供の頃の思い出で、とても美味しかった記憶があります。)
変わりに売店で朝食を買い込んで車内で食べるかな?
ちょっと時間が早いけれど、駅構内に入りましょう。
もはや時代なのか紙の切符ではなく、スマフォの画面に表示されるデジタル切符!
・デジタル大涌谷きっぷ | ・実際の画面は動いています |
"箱根フリーパス"なる無敵のやつもあるのですが、猫のトムくんが待つ自宅に18時には戻りたいというタイムリミットがあるので、もうワンランク下の『大涌谷きっぷ』なるものをセレクト。
これで小田急線の往復運賃の他、箱根登山鉄道やケーブルカー、ロープウェイが2日間乗り放題!
おっと!駅構内にロマンスカーカフェなるモーニングが出来そうな喫茶店があるぞっ!!
しかもロマンスカー乗り場の目の前というロケーション。
・改札をくぐったら、ロマンスカー色のカフェがありました |
旅という非日常を味わう演出は嬉しいですね。
さっそくホットコーヒーと軽食で優雅な朝ごはん。しかも目の前は特急ホーム!
・特急など電車を眺めながらのモーニング |
意外にもパンが美味しい♪ 車内販売の代わりとしてお腹いっぱいになりました。
マッタリしていると、乗車する特急ロマンスカーが入線してきましたよ!
・小田急ロマンスカーGSE |
ロマンスカーGSEというらしい。
昔のロマンスカーのイメージに原点回帰した車両なんですって。
私のおばあちゃん宅が下北沢だった関係で、子供の頃はロマンスカーにはお世話になりました。当時最新鋭だった前面展望が出来るNSE車に乗って江ノ島に行ったのは今も覚えている!
https://…/2010/08/14/ 街乗り・高速・タイトコーナー 実走行試験 ~ ロンちゃんに会いに行こう!
・【使いまわし写真】小田急ロマンスカー NSE 私世代の人はロマンスカーと言えばこれ |
その日の帰りにはせっかく先頭車両の指定席が取れたにもかかわらず、展望が効かないSE車が来てがっかりしたことも。今ならばSE車に喜んで乗っていただろうけれど(笑)
話を戻してえーっと、特急券もデジタル切符。アチコチスマフォアプリを切り替えてあぁ忙しい!
さすがに展望席は予約が取れず、1号車の一般席へ。
・先頭の1号車の後ろの方の座席を予約していました |
車内放送のメロディーはテレビCMで流れている例のやつだ♪
乗り心地は最高ですが、前に電車が詰まっているのかそんなに飛ばさない印象。
最初の停車駅、町田では・・・・大量に人が降りる!?
なんと展望席付近に座っていた人達がみんな降りるのね。てっきり箱根まで行く観光客かと思いきや、ロマンスカーの展望席に乗ることが目的の鉄ちゃんの人々らしい。
それら人々と入れ替わるように観光客でほぼ満席に。
う~む、展望席は観光客優先とか、新宿駅~箱根を通しで乗る人に売るとかしたほうが良さげな気が。
明らかに観光客とは雰囲気が違うものね・・・・
町田を出ると、海老名、伊勢原と止まり山が近くなって景色が一変。曇り空もどこへやら。完全な青空になり観光日和な天気に。こりゃ~ラッキーだな。
最後の停車駅、小田原に止まりここから先は箱根登山鉄道への乗り入れ。
昔はここから先は三線軌条になっていて、標準軌の箱根登山鉄道と狭軌の小田原電鉄の車両が走っていたのですが、保守管理に手間がかかるのか設備は狭軌のみにしてしまい小田急の車両のみが走るようになっちゃったのよね。
線路のグレードが落ち、最急40‰の急勾配を越え・・・・約1時間半で終点の箱根湯本。
・かまぼこが連なったような形の屋根が特徴的な、箱根湯本駅 |
だがゆったりと周辺を見学することなく、すぐに同一ホームの反対側、登山電車乗り場に並びます。
帰りの電車は14時半。箱根に滞在できる時間は5時間しかありませぬ。弾丸観光の開始です!
やって来たのは見るからに現代風の新しい電車、アレグラ号。
・箱根登山鉄道3100形 アレグラ号 |
この登山鉄道を建設するために参考とし、現在も姉妹関係を結んでいるというスイスのベルニナ鉄道(現:レーティッシュ鉄道)のある地方の挨拶言葉なのだそう。(決して鼻炎薬のことではありませぬ。)
最後尾を陣取ります。
・最後尾のセカンドロー(前に座席がない) |
前面もそうですが側面も非常に大きなガラスで展望がものすごく良い。
観光列車であることを実感します。
出発するとすぐに80‰の急登坂!
3両編成の先頭と最後では、なんと3.6mもの差が出るほどで、摩擦力だけに頼る粘着式鉄道ではもちろん日本一の勾配・・・・的なうんちくは、車掌さんの他にもう一名増員されているガイド役の車掌さんが案内してくれます。ナイスなサービス!!
最後尾・・・・だったのですが、途中からは先頭に。
・先頭になったり最後になったり・・・・ |
登坂が急なので3回もスイッチバックをしながら進むので、最後尾でも前面展望が楽しめます。
登坂だけでなく、半径30mの急曲線も見どころ。摩擦がすごいのでレールに油を塗りたいところですが、この急坂でブレーキが効かなくなる事態を防ぐため、水を撒きながらの走行。
一時不通(2019年~2020年)となっていたがけ崩れの現場も見事に復旧していて、グイグイと標高を上げ541mの強羅駅。
・箱根登山鉄道 強羅駅(H=541m) |
結構な人数の人が乗っていたのですね。
姉妹鉄道となっているスイスのベルニナ鉄道→レーティッシュ鉄道の紹介広告。いつかは行ってみたいと思う場所。
・カラーリングも先輩のものを見習っているみたいですね |
他にも、レーティッシュ鉄道から贈られたカウベルが飾られていたりと、観光色は抜群。ちなみに御礼返しは、レーティッシュ鉄道の駅に設置する日本語駅名標ですって。
ここまでかなり登ってきたのですが、箱根ではまだまだ中間地点。ここからはケーブルカーに乗り継ぎ。
・箱根登山ケーブルカー |
登山鉄道の80‰など眼中にすら無い、最急勾配200‰で急登坂!もはや車両の床が平面ではなく階段状になっているほど。
終点の早雲山駅の標高は750m。来たねぇ~
だがさらにここからはロープウェイに乗り継ぎ、上に登っていきます。
西武グループと小田急グループが繰り広げた観光争い(箱根山戦争)の名残りか、西武系列を使わずに箱根を巡れるゴールデンコースという仕組みができているみたい。
ロープウェイは数年前(2019年~2020年)に長期運休して設備を最新式に入れ替えたばかり。
・箱根ロープウェイ |
一般的なロープウェイというよりはスキー場のゴンドラの感覚が近いかしら?
ゴンドラがロープを掴んで移動するので、乗降時は止まりますし、次から次へとゴンドラがやってくる。
しかもゴンドラよりも幅が広い二本のロープを掴むので横風にも強い。
今まで以上に急登坂。しかも谷を越えるのでケーブルカーでは無理な地形。
・梅雨はどこへ行った!? とても良い天気じゃん。そしてまだまだ登ります |
でも観光客にとっては目まぐるしく変わる乗り物それ自体がアトラクションとして楽しめるし、景色の視点も変わって楽しい。
上手くできていますよね。
一駅目の大涌谷駅(標高 1,044m)で下車。というか今日使用している切符ではここまでが有効範囲。
・ゴールデンコース中で最も標高が高い・・・・大涌谷駅 |
箱根はバイクでは数しれず来ているけれど、いわゆる観光地って一度も来たことが無かったのよね(爆)
大涌谷も有名な観光地で名前だけは知っていても、一切来たことがない初見の地。
硫黄の匂いがスゴイな!
・温泉が湧くでかい谷だから・・・・大涌谷? |
今も活きる火山で、そのおかげで温泉が湧いている地。
展望台からの眺めも良いですが、この谷をロープウェイは越えていて、ゴンドラ内からの眺めも抜群に良い。
湧き出る温泉で手を清め、お地蔵さんに手を合わせます。
・神泉の湯 |
すげぇな。これならば真冬でも躊躇なく手を清められる!
このお地蔵さんの先を行くと、温泉玉子を茹でる場所。ただし一般人は立入禁止。大涌谷一帯は監視をする人が常駐していて火山ガスの状況に常に目を配っている場所。
美しさと危険は隣り合わせってことか。
せっかくここまで来たのだから、名物の温泉玉子を。
・真っ黒に変色するのが特色の、箱根・大涌谷の黒たまご |
真っ黒!
なんでも生卵を温泉池でゆでると、気孔の多い殻に鉄分(温泉池の成分)が付着し、これに硫化水素が反応して硫化鉄(黒色)となり、黒い殻のゆで玉子ができあがるのだとか。
そしてなぜか美味い♪・・・・が、テレビ番組で科学的に分析すると、普通のゆで卵よりも20%ほど旨味成分が多かったのだとか。不思議ですね。
この先、桃源台まで行き箱根海賊船に乗り継ぎ、箱根関所からバスで戻るコースが有名ですが、それをしようとすると一切観光時間が取れず忙しく移動だけになってしまう。
なので今日はここでUターン。それでも自由時間は移動を除くと2時間しか取れない。
お土産をセレクトしたら、ソフトクリームで休憩。
・卵の黄身を意識した? カスタード版クレミア クッキーは桜色 |
今日はこれが精一杯。
また早雲山駅方向にロープウェイで戻ります。
往路は結構混雑していましたが、こんな時間から帰路につく人々はそう居ないようで、適度に空いています。
・ロープウェイからの眺めが一番良かったりして |
そして大涌谷で一番のビュースポットだったりして。
早雲山駅で再びケーブルカー。そして強羅駅では再び登山電車。だがケーブルカーの乗客がドッと押し寄せたので、付近のお土産屋でも見学して一本乗り過ごそう。
・強羅駅前を散策 |
・・・・むむっ!? 急速に空の色が変わってきたゾ!
そして下り勾配の登山電車。帰りは新型アレグラ号ではなく、旧型のベルニナ号。
・箱根登山鉄道1000形 ベルニナ号 |
もちろん愛称はスイス・ベルニナ鉄道から頂いたもの。
座席が100%埋まる程度の乗車具合なのでちょうど良い。
ゆっくりゆっくりと踏ん張りながら坂を下っていきます。往路とほぼ同じ座席位置なので、往路とは前後が入れ替わった景色が楽しめます。
・半径30mのカーブを右に左に大忙し |
半径30mのカーブでは角度が60度くらいになるんですって!
最後尾から見ていると手が届きそう。
そして当初は斜面の地を固めるために植えた紫陽花が名物になるほどに。
ただ残念ながら下界では見頃な紫陽花も、ここ箱根の標高ではまだこれからで、駅員さんによるとあと1~2週間後が見頃なのだとか。
紫陽花は来年改めて狙うことにしよう。
坂を登るよりも降りるほうが恐怖感があるわね。
登坂時はモーターで回転力を発生させている状態ですが、降下時はエンジンブレーキのようにモーターを発電機として用いて速度が速くならないように必死で抑えている感じ。
身体の感覚でも下り坂で前に前に進もうとするのを抑えているのが感じ取れます。
もしこのブレーキが失効したら・・・・あぁ怖い。(もちろん予備ブレーキを装備していますよ。)
帰路は、終点箱根湯本駅の一駅手前『塔ノ沢』駅で下車してみます。
・塔ノ沢駅で途中下車 |
ここは自動車等の機動力では到達できず、電車か徒歩でないと来られない駅。
バイクでなくて電車で来たのであればこういう普段行けないところを巡れるのが楽しい。
駅のホームの端には・・・・深澤銭洗弁天があります。
・深澤銭洗弁天 |
何故こんなところに・・・・確かにここならばバイクでは来られない(笑)
駅から伸びる谷筋にある神社。空気がとてもひんやりして気持ちが良い。
まずはお参りを済ませましょう。
・お参りをして・・・・ |
そして名物(?)の銭洗い。財界人もここを信仰しているらしく、有名な会社の名の入った幟も。
ザルにお金を入れて洗うのだとか。わざとお金を濡らすというのはちょっとドキドキする行為。溶けて無くならないよな・・・・
・銭を洗いましょう |
ここで洗ったお金はすぐに使ったほうがご利益があるのだとか。
ここで終わりかと思ったら、脇からさらに奥に続く道を発見!
・あらら? さらに奥に続いているぞ!? |
奥に進むに連れ、周りに冷たい水が流れているせいかさらにひんやりした世界に。
鳥居をくぐるたびに神聖な雰囲気に・・・・
・幾重もの鳥居をくぐり抜けると・・・・ |
そしてたどり着いたのは行き止まり・・・・?
じゃなかった!よく見ると壁に洞窟のように洞穴が開いており、その奥には祠が!
・洞窟の奥に祠が! |
しかも、普段は暗くて人が奥まで近づくと照明スイッチが入るみたいで気が付きづらいかも。
あれれっ!?この祠付近にいると雨が降ってきた!・・・・が、この場から離れると雨は止んだ!何だったのだろう?
また銭洗い場だ・・・・もう手持ちの千円札は無いよ。仕方がない、怖いけれど一万円札を洗おう。
・千円札がもう無い! 一万円札を洗おう!(ドキドキ) |
この背徳感がドキドキを誘発(笑)
お参りを済ませて駅に戻ってきました。
どっち方向もトンネルに挟まれた山間の駅。
・塔ノ沢駅まで戻ってきました |
すぐに晴れ間が戻りました。水の神様だからなのかな?
ホームの弁天さんのところには、紫陽花が咲き始めています。
・弁天さんの周りだけは、あじさいが咲いている |
紫陽花が咲き乱れる数週間後はきっとものすごく混雑し、そして絶句していたかもしれない・・・・
こんな鄙びた雰囲気を味わえた今日の方が正解かも。
・もふもふ |
もふもふ紫陽花。この紫色の部分は花ではなく装飾花だそうで。そして土壌の酸性度により装飾花の色が変わるのだとか。酸性なら紫・・・・最近見かけるのは紫色のアジサイばかりな気がします。
次にやってきた箱根湯本駅行きの電車はアレグラ号。
・一本あとの電車はアレグラ号 |
一駅の僅かな時間だけ乗車し、大急ぎで箱根湯本駅に戻ってきました。
最後はここで一時間くらい使ってランチをしようかと思っていたのですが、僅か20分しか時間が残っていない(泣)
お店での飲食は泣く泣く諦めよう。
入線してきたのはドラえもんカラーのロマンスカーMSE。
・帰りはドラえもんみたいな色の、ロマンスカーMSE |
地下鉄に乗り入れるための車両だからか展望席はないタイプ。
そう言えば昔のロマンスカーは連接台車という構造の関係で通過音が独特で『ガタッ・・・・ガタッ・・・・ガタッ』だったのが今のロマンスカーでは普通にガタンガタン。
車内は落ち着いた木目調。
・木目調の車内 |
ずっと動き回っていたからようやく少し落ち着けるな。
遅めのランチは駅弁を車内で。
・"炙り金目鯛と小鯵押寿司"弁当 |
酢漬けとはいえ、車内でお寿司は格別だな。
あらら!?いつの間にか大雨が降ってきましたよ!
・あら、平野は大雨だったみたいですね |
どうやら今日は全てが紙一重で動いているようだ。そして傘は使っていない・・・・
昨日土砂降りに打たれたから今日は勘弁してくれたのかしら?
旅の終りは新宿駅。
・新宿駅に到着 |
何もしていないようで結構疲れるなぁ。バイク旅だと疲れ方を知っているのですが、それとは異なる疲れ方でどうも勝手が異なるゾ(笑)
新宿も晴れていますね。本当に今日は色々とラッキーでしたね。
・弾丸旅行は終了です |
猫のトムくんにもお土産を買っていってあげよう。一番喜ぶのはお刺身だわね。
魚屋を覗いていたら美味しそうなうなぎが置いてあったので、土用の丑の日にはだいぶ早いけれど人間はうなぎ、猫はのどぐろ数切れ。
・晩御飯は鹿児島産うなぎ、トムさんのお土産にお刺身も |
バイクで行かない箱根旅はなかなか新鮮でした。というか普通の人の旅というのはこういうスタイルで、何なら温泉宿で一泊して美味しいものを食べてくるのだろう。
梅雨の趣味シリーズとしてちょうど良いかも!!