R20甲州街道でJR中央本線探索の旅 Part3

今日の日記は、この間の土曜日に行ってきた隧道探索のお話の続きの続きです。

Part・1

https://…/2011/11/26/ 代天工・・・・天に代わって工む!

Part・2

https://…/2011/11/30/ R20甲州街道でJR中央本線探索の旅 Part2

Part2では、笹子駅から少し八王子側に寄った所にある旧線跡・天神山隧道を探索しましたが、今度はもっと長い距離の旧線跡を探索します。
場面は、JR猿橋駅と一つお隣のJR鳥沢駅。まずは地図をご覧頂きましょう。

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・JR猿橋駅~JR鳥沢駅間の旧線跡(赤色線で追記:隧道跡は灰色で追記)

現在の技術では長大な橋は何のその。複線化した時に橋をかけ、ほぼ直線的に駅間を結ぶ現行線ルートに変更となりましたが、そんな橋が造れない時代は、桂川に沿ってグルッと迂回するルートだったのです。
今回の旧線跡探索に当たり、入念な事前調査を行なってなるべく詳細な旧線跡の位置特定を行い、Googleマップ上にプロットし、当日はGPS座標でアタックをする作戦をとります。
航空写真やらGoogleマップ上にも明記されていた隧道跡のオブジェを線で結び、かなり精度が高い旧線跡が特定できました。


当日は、それぞれのポイント毎にバイクと車で移動して、その都度駐車場所を探して・・・・は困難と考えられるため、猿橋駅にバイク&車を止めて徒歩巡回作戦。R20最短ルート歩行でも4kmあるので、アチコチウロウロすると5km超となりそうな予感!
しかし実際にJR猿橋駅前に行くと、早くもそのプランは崩壊・・・・自動車止めるスペース無し!


バイクの機動力で付近を探索し、観光名所猿橋周辺に駐車場があったので、ココにバイク&車を止め探索スタートです! 

日本三奇橋の1つ:猿橋(さるはし、または、えんきょう。)

ここも近すぎて素通りすることが多いポイント。今回の旧線探索のスタートに当たり、せっかくですから見学しておきましょう。
この付近の桂川で、もっとも川幅が狭くなる地点。昔の甲州街道は、このもっとも川幅が狭くなる地点に架橋された『猿橋』を通っていました。しかし谷が深いので橋脚を立てることが出来ず、川岸の岩盤に穴をあけて横方向に木材を突き刺し、その木材の上に少しずつずらしながら木材を重ねていって橋として機能させる構造の珍しい橋です。

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・猿橋 橋脚がなくスッキリ!

橋を支える命となる木材は、木を腐らせる雨から守るため屋根』が取り付けられています。決して装飾のためではなく役割があるのです。(まぁ、今現存する橋は復元されたもので、木材で構成されているように見えるけれど、主要な部分は鋼で出来ているから屋根は飾りになっちゃうけれど。)


この付近は川幅が狭いので、架橋の好適地。橋は沢山かかっていて、現行のR20・甲州街道として使用している『新猿橋』から川を眺めると・・・・

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・現R20 新猿橋からみた桂川 橋がいっぱい架かっています。

沢山の橋が架かっています。木造の元祖『猿橋』(1851年:1984年に復元架橋)のほかに、旧甲州街道として使用されていた鋼鉄製の『志ん猿橋』(1934年竣工)。
さらに興味深い水路橋の『八ツ沢発電所一号水路橋』(1912年竣工)もありますが、これはもう少し上流の駒橋水力発電所で使用した水を、もう一度下流の八ツ沢水力発電所で利用するため、緩やかに流すことで川との標高差を稼いでいる施設。ものすごい量の水が流れています。


そして忘れてならないのが、ここにもう一つ、少なくとも1968年までは鉄道橋が存在していたということ
ほんの少しだけ視線を左にズラすと・・・・レンガ積みのオブジェがあり、その上に家が建っていますが・・・・

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・巨大なレンガ積みのオブジェがあります

このオブジェこそが鉄道橋の橋脚だったのです。橋脚がこんな形で再利用されているとはちょっと驚き!


そして橋が架かっていたと思われる場所に向かって、川岸の道路を歩いていくと・・・・

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・おやっ!(?) 何か見えるぞ・・・・

一見普通の町並みなのですが、ちょっと不自然なものが混じっています。


よ~く見てみると・・・・

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・門柱のような石がありますね。 ・うぉぉぉぉぉ

うっ! この石、隧道の笠石と付け柱だ!!!
こんな自然な形で溶け込んでいるとは・・・・。反対側に回ってみると・・・・

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・廃隧道だっ!  大原隧道(大月側)

完全な形で残っている! やはりここに鉄道橋があり、この隧道と繋がっていたことは事実だったのでしょう。
立派な隧道じゃないですか。


スグ隣が普通の住宅なので、これ以上の深入りはヤメておきましょう。
しかし~、残っているものだなぁ・・・・

大原隧道(八王子側)と築堤跡

R20・甲州街道を歩いて、大原隧道の反対側に回ってみましょう。

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・R20を徒歩で。歩道が狭いのでちょっと怖い

交通量が多いR20の歩道はショボイので、ちょっと恐怖。そして突然視界がきく場所に出ました。

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・不自然に広~い空間・・・・

この広い空間は、従来は築堤された旧線跡。現在はすっかり更地に戻されてしまいましたし、真っ直ぐ進んだ崖にあったはずの宮谷隧道の入口も完全に潰されちゃっています。
しかし・・・・180度振り向くと・・・・

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・アーチが見える!

やはりココが間違いなく旧線跡だった証廃隧道が見えます。う~、R20を通行していても見えるこの隧道。いままでまったく気がつかなかった~~~(泣)


微妙に高さがあるし、草がボウボウだし、ちょっとアタックしづらいなぁ・・・・
といいつつも、そんなの無関係で突っ込んでいくくぼたさん、ちょっと素敵。まぁ、冬の草が一番少ないこの時期で草ボウボウなんて言っていたら、こんな趣味が成立しないものなぁ・・・・(爆)
そして超悪路な崖のぼり。写真撮るヒマがありませんでした・・・・


なんとか上部に到達しましたよ~

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・こっちも立派じゃない! 大原隧道(八王子側)

ここも隧道が完全な形で残っていました。立派な石積みの付け柱。レンガの胸壁。トンネル内部は今まで見てきた隧道と一緒で下半分が石積み、上半分アーチ部分がレンガ積み。


残念ながら足場が悪いので、トンネル正面から全体を入れた写真が撮れない!

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・トンネルの内部も綺麗 ・隧道から築堤方面を眺める

ココも素晴らしいね~


次のポイントは、築堤は潰されているし、宮谷隧道の入口も潰されているから、宮谷隧道の反対側・竹沢橋梁付近かな(?)(?)(?) 

産業技術遺産・重要文化財 八ツ沢発電所水路(開渠・水路橋)

ちょうど旧線跡に沿うように、水路もあります。この日記を書くために調べたら、この水路も重要文化財なんですって。
ちょっと離れたところからみると『川かな(?)』、あるいは『ビニールハウス(?)』って思うのですが、どうも様子が違います。

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・八ツ沢発電所 第二号開渠  金網の下は大量の水が流れています。

大量の水が結構な速さで流れている水路。長さ14kmにも達するもので、転落防止やゴミなどの落下を防ぐために厳重に塞いであるのだと思われます。
この水路かただの川でないことは、看板でわかります。

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東京電力が管轄する水路と明記されています

この水路、第1号隧道~第18号隧道、第1号水路橋~第4号水路橋とで構成されていて、いずれも明治時代の建築物


R20から、竹沢橋梁がかかる川を遡る途中にある水路橋。その素晴らしさにしばらく言葉を失ってしまいました

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・八ツ沢発電所 第三号水路橋

山の中にヒッソリと存在する水路橋。人の立ち入りがほとんど存在しないからなのか、邪魔な金網がないのです。
そしてこの水路橋、当然総レンガ造り

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・橋脚もレンガ、アーチもレンガ、上部構造もレンガ!!

美しい~


下部構造と上部構造の間には、レンガによる装飾まで施されています。
レンガを積み上げて構造物とするのであれば、その積み方を工夫して装飾する・・・・当時の職人の技、誇りだったのでしょう。
現在のコンクリート工だったらば、無駄な工費がかがると簡単なカットされてしまうのでしょうが。

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・橋脚をよくみると、川の流れがぶつかるところだけ石積み

いいねぇ~


隧道巡りもいいけれど、この水路巡りも本格的にやってみたいなぁ・・・・ 

旧線探索のハイライト 竹沢橋梁付近の遺構

竹沢橋梁跡に向けて、GPS座標アタックを行います。先ほどの水路橋より上流なのですが、そのままでは川を辿れなかったので、別ルートから再アプローチ!

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・川を遡っています

すると、すぐにオブジェが見つかりました。竹沢橋梁の橋脚跡です。

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・竹沢橋梁跡 石積みの橋脚。よくみると対岸に隧道アーチが見えます

橋桁自体は撤去されていますが、しっかりと残る石済みの橋脚。そして対岸の隧道アーチ。向こう岸に渡る手段が無いので残念ながら眺めるだけですが。


そして、こちら岸にも石積みの橋台跡が。

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・石積みの橋台跡

事前調査によると、こちら側もスグに隧道があるはずなんだよなぁ・・・・。登るか・・・・(爆)


ここも登るのに苦労したなぁ・・・・。(降りるほうがもっと苦労したけれど。)
でも苦労しただけあって・・・・

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・第二富浜隧道(大月側)

やっぱり綺麗な形で残る隧道。見て回る隧道が建設時期が同じこともあって、見事に全て同じ構造をしています
国鉄の標準設計図みたいなのがあって、それに準じているからなんだろうなぁ~


ヒッソリとしたこの場所に、隧道2つに橋脚。そして水路橋。文句無しの遺構スポットです。

旅人よ。第一富浜隧道

第二富浜隧道の反対側は住宅街の中・・・・公民館が建設されて完全に潰されてしまいました

しかし、スグ先の第一富浜隧道完全な形で残っていました

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・住宅街の中に溶け込んでいる『第一富浜隧道

うわぉ。
そしてココでは私たちと同じ、隧道めぐりをしている人とパッタリと鉢合わせ


最初は私たちが隧道に近づきすぎていたので、近所の人から怒られるのかと思ったら・・・・同類でした
すっかり意気投合して情報交換。

やっぱりこういう遺構に興味を示す人っているのね~。


念のため、反対側にも回り、路盤跡を発見してトレース。途中から完全に藪で覆われているのですが、やっぱり強引にアタック!

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・線路跡も残っているのですが、途中から草ボウボウ・・・・

バキバキ・・・・


もう藪アタックも慣れました。バキバキ・・・・

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・結構な藪 ・おぉ見えてきた・・・・

猿橋~鳥沢の僅か3kmほどの区間でこれでもかっっ!!!というほど高密度に点在する遺構たち。


いろいろ見れて楽しかったなぁ~
だんだん見るほうもレベルが上がってきて、少々の藪は気にしなくなりましたし、なんかクセになってきた~


鳥沢駅まで歩いて電車で猿橋まで戻る・・・・よりも、歩いたほうが手っ取り早いんじゃない(?)ということで、3kmを歩いて戻り・・・・歩くのも苦にならないし。

超遅いランチでまったり

今日は本当はもう一箇所、都県境の大垂水峠の旧道も探索するつもりだったのですが、全然時間が足りないのでカットして、その分を笹子・天神山・猿橋旧線に回したのですが、それでも日没の時間を計算するとランチを取る時間がもったいない!
ということで、後回しにしていました。


午後4時、ようやくランチ。
寒いので、鍋焼きうどん。

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・鍋焼きうどん

あぁ~暖まる~~~
そして、やっぱり体には一日歩いたダメージなのか、一度動くのを辞めるとカチカチに固まってしまい、アチコチ痛くなってくる。
それでも、お互い撮影した写真を見ながらの反省会をしつつ、楽しい食事。


食べている最中に日没を迎え、徐々に闇が支配し始め、それに伴って訪れる寒さ!


この時期、バイクでの活動可能時間は17時だな・・・・
場所のせいかもしれないけれど、猛烈に寒い! 来年の春になるまで、隧道巡りは車便乗作戦だな

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・帰ることはすっかり暗くなってしまいました

寒い~
体全体が寒さで固まってしまって、左手クラッチが思うように握れない~
左腕の筋がピキピキと痛みを発し、もはや握ることは不可能・・・・指をL字に固定して腕全体で引き込んで動かす非常事態。


こんな時に限って並行する中央道が事故通行止めとかでR20は大渋滞
最後の最後までネタに困らない一日なのでした。くぼたさま、お疲れ様でした~