代天工・・・・天に代わって工む!

今日は、隧道仲間のくぼたさんと隧道探索。前回(3週間前だけれど。)は八王子市内の峠『小峰峠』にフィーチャーしましたが、今回は八王子市内を東西に走り抜けているJR中央本線にフィーチャー!

https://…/2011/11/13/ 隧道2×隧道3=Fe

集合は朝7時。いつもどおり、バイクと車の混成編成で出撃です。自動車に搭載したノートPCやらGPSやらでピンポイントでの座標特定をしつつ、バイクの機動力を生かし狭い道だろうが突入して偵察活動。それらを有機的に結びつけるアマチュア無線機。もはやこのスタイルでの活動は無敵なのです。


その前にどうしてもこれを書いておきたいの。ミニストップで朝御飯

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・G-DOG ダブルチーズピザ

朝からハイカロリー。でもウマ~~~~


お腹がいっぱいになったら、JR中央本線と平行しているR20・甲州街道をひたすら西進して、山梨県・甲府方面を目指します。

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・R20をひたすら西進。スグ脇を沿うようにJR中央本線が走っています。

甲府へは、都県境の『小仏峠/大垂水峠』と、ルート上で一番の難所『笹子峠』を越えていかねばなりません。


そう、R20/中央本線で一番の難所、笹子峠。今日の一つ目の探索ポイントはココ、笹子峠なのです。
今でこそ4セット・6本のトンネルが貫いている笹子峠。そんなトンネル群でも一番最初に開通したトンネルを見学しに行きます。

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・寒い! バイクにはキツ過ぎる気温だぜっっ!

笹子峠。そんなに標高は高くないはずなのですが、やはり 東京都 八王子は違う冷え込みっぷり。天下の国道20号、交通量は有るので凍結の心配はしなくてもよいのですが、寒い~~~~
同行が車なので、この寒さを味わっているのが私だけだと思うと余計に寒い~~~~

笹子峠・JR中央本線下り線の『笹子隧道

笹子峠を貫く6本のトンネルのうち、一番最初にできたのが国鉄笹子隧道1902年(明治35年)に開通した長さ4,656mの長大な隧道で、そして今なお現役な隧道
東海道線が海岸近くのルートを通り、艦船からの砲撃が予想されるため、軍部の主張により内陸にも迂回路を作る計画なのですが、当時の技術ではこんな長い隧道を掘ったことが無く、国を揚げての大プロジェクト
信州と東京を結ぶ最重要ルートでもあったのです。


さて、そんな笹子隧道ですが、写真を撮るのはなかなか大変。甲府側はトンネルを出てすぐ川が流れているので陸地からのアプローチは不可。まぁ、逆に川原を歩いてアプローチできるので楽といえば楽だけれど。(爆)

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・R20から眺めると、微妙に遠い ・川原からアプローチします。

もう開通から100年以上経過していますが、現役の鉄道隧道。しかも、30分に1本の特急あずさ・かいじの合間に普通列車が約30分に1本その他に貨物列車やらも走っているので鉄道区画内への立ち入りは厳禁! ちょっと気を使いながらのアプローチ。


そして対岸から撮影。逆光なのが悔しい~~~~

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・笹子隧道(甲府側)  扁額には『代天工』と刻まれています。  第3代内閣総理大臣・元帥陸軍大将 山縣有朋著

開通当時は日本一、いや東洋一の長さと歌われたほど、当時では圧倒的な長さの隧道。事実、この日本一の座は、30年後の清水トンネル開通まで破られることはありませんでした。


そんな隧道ですから、当時の人々の想いは相当なものが詰まっています。
無事に開通した際には、わざわざ当時の内閣総理大臣が扁額を刻んでいるほどですから。そしてその言葉が非常に誇らしげで、重く、そして謙虚な・・・・現在人が読んでも当時の人々の想いが読み取れます。


代天工』。天に代わって工む(たくむ)。『人間の力は天然にも優る』という意味が込められているそうです。
当時の人にとってこの隧道は、本当に『信じられない~』と絶叫してしまうほどの規模のことだったのでしょう。


隧道の構造は時代とともに、素堀り-->石積み-->レンガ積み-->コンクリートと進化していくのですが、この時代はまだ『石積み』の時代。
どうですこの重厚な胸壁。そして笠石と帯石で飾り付けられた堂々とした威圧感。近年のコンクリートトンネルではとても出すことの出来ない『』です。


反対の八王子側も当然立派!

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・笹子隧道(八王子側)  扁額には『因地利』と刻まれています。  初代内閣総理大臣 伊藤博文著

こちらは千円札で御馴染み『伊藤博文』さんによる扁額"因地利"。地の利に因んで、最適の場所に掘った『地の利を生かす』という意味がこめられ、甲府側と対句になっているのです。

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・ホリデー快速やまなし号が笹子隧道 因地利の下を駆け抜けていく!!

なんて素晴らしい~
ここまでいろいろ隧道を見てきましたが、ここまで重厚で、かつ現役な隧道を見たのは初めてです。
というか、今まで何度もR20を通過しているのに、この隧道にフィーチャーしなかった私、相当もったいないことをしていました。


ちなみにスグ脇には、中央本線上り線用の2本目となる新笹子隧道がありますが、コチラは1995年(昭和40年)開通。この時代になるとコンクリート技術が発達したため、何の味も無いトンネルです

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・新笹子隧道 まったくつまらん!

トンネルから500mほど八王子方にはJR笹子駅。今はもう無人駅になり駅構内での販売は無くなってしまいましたが、駅前の製造所で駅弁笹子餅』を買うことが出来るので立ち寄ってみました。


むっ!

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・JR笹子駅前にある『笹子隧道記念碑』 陸軍大将 桂太郎著!

巨大な碑が。なになに・・・・笹子隧道記念碑ですって! まぐれにしては上出来な出会い!
しかもまた裏面に刻まれた文字がすごい。

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・記念碑の裏側には漢字が刻まれている。明治三十六年記! 山縣集題西ノ口代天工・・・・かな(?)

光の具合で文字が非常に読み取りにくいが、時間をかけて読み解くと笹子隧道を掘り始めて、コレだけの人とお金をかけてやっと開通し、西ノ口集題『代天工』は山縣が、東ノ口集題『因地利』は伊藤が記したとか・・・・事細かに書いてある!
すげぇ~よ、笹子!


というわけで、ここでも感動したあとはお待ちかねのコレ

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・笹子餅 ・笹子峠の伏流水で作ったお餅

笹子駅のベンチで笹子餅。ほんのりした甘さが素敵
いい時代だったんだろうなぁ・・・・。そんな想像も楽しいものです。


さて・・・・
今日はココから先もまだまだ続くのですが、長文になりすぎるので日記はココでお終い(←先日の飲み会で苦情が・・・・(爆))。続きはまた来週の別の日の日記として書くことにします。

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https://…/2011/11/30/ R20甲州街道でJR中央本線探索の旅 Part2