愛車のバイク、VFR750F(RC36)に取り付けたアマチュア無線機FTM-10Sで運用テストを行った結果、いくつか課題が発生したうちの一つ、無線送信する音声が過変調で相手が非常に聞き取りずらいという点について解析し、どうやら使用しているマイクの信号レベルが大きすぎるということが分かりました。
https://…/2009/08/24/ FTM-10S無線機で使用するマイクの実験
そこで、マイクの信号レベルを減衰させて、無線機の入力レベルに合わせるため、アッテネータを追加製作することにします。
さて、アッテネータの各定数を計算して求めなければいけません。FTM-10Sのカタログスペックから、マイクロフォンインピーダンス2[kΩ]が正しいと仮定して計算します。
最終的に出来た回路は、実機に接続し検証をしてみます。何にも無いと検証すら出来ないので、まずは仮説に基づいて回路を作り、実験しては手直し・・・・カットアンドトライをするのです。
えっ、入力インピーダンスを計測するのが先だって(?) だって~、測定機器を屋外に持ち出して測定するのが大変なので、一度で済ませたい・・・・。(済まないかもしれないけど。)
まずは、要求スペックを羅列してみます。
- FTM-10Sの入力インピーダンスが2[kΩ]なので、アッテネータの入力インピーダンスも2[kΩ]にしておけば、マイクからの入力部分の性能は今までどおりです。
- ということは出力インピーダンスも2[kΩ]にしておきましょう。
- 前回の実験から、減衰量は1/30とします。
これらから、入出力インピーダンスが同一なので、各定数の計算が一番簡単な『ブリッジT型アッテネータ』を前提にします。
・ブリッジT型アッテネータ |
Rは、入出力インピーダンスと等値なので、2[kΩ]とします。
R1,R2の計算式は、次の通りとなります。
R1 = R × ( 10(G÷20) - 1)
R2 = R ÷ ( 10(G÷20) - 1)
G……減衰量[dB]
ということなので、まずは減衰量1/30をデシベルに換算します。
G = 10 × log10 ( 1 ÷ 30)2 ≒ -29.5 [dB]
これで、上記計算が可能となります。
R1 = 2,000 × ( 10(29.5÷20) - 1) ≒ 57,999.1 [Ω] ≒ 58 [kΩ]
R2 = 2,000 ÷ ( 10(29.5÷20) - 1) ≒ 68.9 [Ω] ≒ 68 [Ω]
おっ! なんだか見慣れた数字が出てきました。
実際に計算で抵抗値が算出できても、その数値が現実的で、かつ入手可能な値である必要があります。一般的な抵抗値E12系列、E24系列に当てはめてみますと・・・・
R = 2 [kΩ] = 1 [kΩ] + 1 [kΩ]
R1 = 58 [kΩ] = 56 [kΩ] + 1 [kΩ] + 1 [kΩ]
R2 = 68 [Ω] = 68 [Ω]
そんなに無理することなく入手可能です。あと、耐電力はほとんど電流は流れないでしょうから1/4[W]タイプで十分でしょう。
さっそく秋葉原で部品集めです。