愛車のバイクVFR750F(RC36)に取り付けたアマチュア無線機FTM-10Sと、自作のヘッドセット。
ところが、どうも過変調。細かく調べるとマイクの出力レベルが大きすぎることが判明し、レベルを落とすためアッテネータ(ATT)を通す事にしました。
https://…/2009/08/24/ FTM-10S無線機で使用するマイクの実験
https://…/2009/08/27/ マイク入力アッテネータの定数計算
そもそも使用しているマイクは、クラリオン製エレクトレットコンデンサマイク"EMA-036-102"(予備で、ダイナミックマイク"DMA-160-210")で、プロが使用する業務用。
プロ用なので(多少コストがかかっても)なるべく大きなレベルの信号でやりとりしてノイズの影響を少なくする仕組みで、タダでさえ条件が悪いバイクでの使用を前提にした設計になっています。
・(A) マイクから信号を拾う ・(B) でも、長い距離を伝送すると、ノイズも一定レベルで加算されてしまう ・(C) そもそもの信号レベルが大きければ、相対的にノイズの影響を小さく出来る |
信号レベルを小さくするとノイズの影響を受けやすい・・・・。アッテネータを取り付けてレベルを落とすのであれば、なるべく無線機に近いところに設置して、レベルの小さな信号を伝送する距離は短くした方が良いことになります。
・仮にアッテネータで半分にレベルを落とすと、ノイズも一緒に減る。 落とした後に長い距離を伝送するとまたノイズを受けてしまうので、なるべく無線機に近いところでレベルを落とす必要があるんです |
すると・・・・シート下の無線機横に設置か・・・・、実装するのに苦労しそうだなぁ・・・・。まぁ、とりあえず机上にてテスト・調整を進めることにします。
性能試験
机上で部品やケーブルを挿すだけで回路が構成される、便利な実験用のブレッドボードに試験回路を作り込みます。
この間、秋葉原で調達してきた部品たちを使用して、次のように実験回路を作りました。
https://…/2009/08/29/ お台場・ヤネナシ号オフ会
・実験回路図 |
とはいっても、部品も数点なのでアッという間。前回に引き続き、FTM-10Sは簡単な等価回路に置き換えます。(FTM-10Sのインピーダンス2[kΩ]も怪しい気がするけど、測定していないのでこの仮定値のままでいきます。)
・購入した抵抗たち | ・ブレッドボード上の回路。左から電源供給部、ATT部、等価回路部 黒いのはオシロスコープのプローブ |
それでは、想定通りの減衰性能が出ているのか、測定してみます。マイクへの入力信号は、PC上で正弦波を演奏させています。
CH1 : 100 [mV/div] ← オレンジ色の縦1目盛りが100[mV] EMA-036-102 マイク出力 CH2 : 10 [mV/div] ← オレンジ色の縦1目盛りが10[mV] アッテネータ減衰後 点線のカーソル間の電圧が 5[mV] |
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・測定結果 (入力信号: 1 [kHz] 正弦波) |
おおっ、ちょうどぴったりなレベルが測定できました!
厳密な値ではないのですが、マイクの出力が大体縦1目盛りと同じ振幅なので、100[mVp-p]。
アッテネータ通過後は・・・・オシロスコープ自体の性能限界の10[mV/div]レンジで測定して、5[mVp-p]以下、読み値で3~4[mVp-p]辺りです。(CH2のオシロの線が太く見えるのは感度を上げすぎてノイズを拾っているからです。)
単純に理論値で計算すると・・・・
100 [mVp-p] × ( 1 ÷ 30) = 3.33 [mVp-p] → 1.18 [mVrms]
となり、想定通りの動作をしていることになります。
実効値[mVrms]に換算するとちょっと小さな値ですが、マイクの最大出力が250[mVp-p]付近を想定しているので・・・・
250 [mVp-p] × ( 1 ÷ 30) = 8.33 [mVp-p] → 2.95 [mVrms]
200 [mVp-p] × ( 1 ÷ 30) = 6.67 [mVp-p] → 2.35 [mVrms]
となり、目標値2.5[mVrms]付近に落ち着きます。
どうせなので、徹底的に
今度は、肉声(?)でテストをしてみます。部屋の中なので大声を出すわけにもいかず、ラジオの声を拾わせてみます。
・ポケットラジオの音を拾わせます | ・測定結果 (入力信号: ラジオ音声) |
おお~っ!! 良い良い♪
狙いどおりのような気もしますが、波長が長くレベルが大きいのはノイズっぽくて、肉声は100[mVp-p]ぐらいか(?)(?)(?)
気になるので、こんどは人間の生声を拾わせることにします・・・・が・・・・・
・なっ、なんじゃこりゃ~~~~~~!!! |
むむむ~~~~~~~っっ!!
ちょっとでも息が掛かるとエラいことになることが分かりました!!
コレはひどい!
というかこのマイクに内蔵されているマイクアンプ、いったい何ボルトまで信号出すの(?)(?)(?)
・ドライヤーと吐息でテスト | ・あまりにひどくて! 0.2 [V/div]レンジで測定しても 2[Vp-p]以上を記録! |
ドライヤーで風を起こし、いろいろな角度から風を当ててノイズとの関連を調べていきますが、風の角度に関係ありません。(もちろん直接当たると大きな乱れとなりますが、反対側から風を当てても乱れる!)
ということは、走行風を受けるとこの強烈なノイズを発しているのです!!
これじゃあ、いくら音声レベルを調整しても、さらに吐息対策&走行風対策をしっかりしなきゃダメかも・・・・
付属の風防は無くしてしまったから、100均に行ってなにか代用品を探してこよう!
ていうか、このマイク、バイク用途に向いていない気が・・・・。ちょっと前の白バイ搭載のアンプって、どんな設計になっていたんだろう(?)(?)(?)