電子少年 た~さまの自叙伝・第6回 ~高校での友人~

時々日記に登場する『自叙伝』シリーズ。私、た~さまの電子工作人間へ至るお話しなのです。

https://…/2010/02/23/ 電子少年 た~さまの自叙伝・第1回 ~小学生高学年の出会い~
https://…/2010/09/11/ 電子少年 た~さまの自叙伝・第2回 ~一つ知れば十の疑問~
https://…/2010/09/14/ 電子少年 た~さまの自叙伝・第3回 ~私にでもできるのでは(?)(?)~
https://…/2010/10/19/ 電子少年 た~さまの自叙伝・第4回 ~趣味はマイクロプロセッサ!(?)~
https://…/2010/12/27/ 電子少年 た~さまの自叙伝・第5回 ~ついに動いた!自分設計のワンボードマイコン~

中学生の頃、なぜかファミコンやパソコンがきっかけでデジタル回路に目覚めた私。
高校生の頃は鬼の柔道部生活を送っていましたが、高校3年生になり、(名目上は)大学受験のために部活を引退する時がやってきました。
放課後にみんなで喫茶店に行ったり、アルバイトをしたり。高校生活で一番楽しかったときです。(念のために言っておきますが、体が毎日ボロボロになるまで鍛えられていた部活生活。当時はイヤで仕方がありませんでしたが、今思い返せば一番の勉強でしたね。)


そんな高校3年生。ここでもクラスメートに恵まれます。当時、電子回路扱えるなんて事は『オタク』に見られてしまうため、極秘にしておいたのですが、ひょんな事から同じクラスにもう一人『ラジオ少年』がいることが判明。たちまち意気投合!

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・中学生のころの作品:自作Z80プロセッサボード ・2段重ねになってしまいました

私はもっぱらデジタル回路(マイクロプロセッサ&ソフトウェア)が好きで、アナログ回路は苦手。彼はその逆で、ラジオや無線機が得意
そのうち、二人の得意分野をあわせればいいじゃん!との発想に。そしてアマチュア無線機を作ろうということになるのです。
私にとっては、無線機を作るなんて夢のまた夢。彼は無線は何とかなっても、デジタルで周波数設定やら操作部分が作れずに難儀していたのです。ちょうど2人の得意分野を合体させれば良いのです


今の仕事としての製品作りでは『仕様書』を書き上げて、それに向かって各人が部分部分を作っていったりテストしたりするのですが、高校生当時、2人で作業するためには取り決めが必要だろうと、誰に教わるでもなく自然と協議して仕様書(もどき)』を書いていました。

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・自然と書くことになった仕様書(もどき)。複数人で物を作る時の取り決めみたいなものです。

そして、デジタル回路側に課せられた条件は『さらなる小型化』と『低ノイズ』、『PLL回路の制御』と『DTMFトーンエンコーダ/デコーダチップの制御』。初代の2階建てプロセッサボードは大きすぎたのです。


制御内容は単純でしたが、さらなる小型化が問題でした。
ものすごく手間暇かかるアートワーク設計(プリント板の配線パターンを作ること)をもう一度やらなければならないのです。
アートワークフィルムは相変わらずレタリング使用で手作り。今みたいなプリンタでチョチョイ・・・・な訳がありません!
しかし、目標があるとやりやすい~、気合いでがんばりました。

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・今までの2階建て基板を1枚にシュリンク! DTMFトーン用チップも搭載! 相変わらずデバッグ後で汚いし、論理間違えが後から発覚しIC一つ追加しているし・・・・

2階建て基板と同機能を1枚の基板上にシュリンク! 基板サイズはいつも同じサンハヤト製33KR(150mm×100mm)であるため、(本人比)200%高密度な実装となったのです。見た目にもチップがたくさん搭載されていて格好良いでしょ~
高校ともなると、理科室にオシロスコープがあるので、先生に頼み込んで放課後に借りてデバッグして・・・・
周りの大人達に解らないことを聞いても、まともに取り合ってくれませんから全て自力解決しなければなりませんし、それどころか100%遊んでいると認識され『勉強しろ!』と怒られまくり・・・・


話は変わって、製作機材を紹介してみましょう
まずは、ROMライタ。ROMとは、リードオンリーメモリーの略語で、プログラム等を格納しておく半導体チップ。
今みたいに電気的に書き換え可能なフラッシュROMなんて存在しないですから、ROMにプログラムを書き込む専用の機械が必要なのです。(当然業務用なんて買えないから、キット製品を自分で組み立て。)

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・キット製品を自分で組み立てたROMライタ ワンダーキット製 KBC-Z84-PRW

当時の愛用機『シャープ X1G』のプリンタポートにつなげて使用する一品です。


書き込む機械があるならば、当然消す機械が必要です。
ずばり、ROMイレーサ。一度書き込んだプログラムを消すには、強力な紫外線を10~20分当てる必要があるのです。その、紫外線を当てる機械です。

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・ROMイレーサ ・UV-EPROM ガラス製の窓が開いています

UV-EPROMは、半導体パッケージに透明な窓が開いていて、紫外線を中の回路に直接照射できるようになっているのです。普段はシールを貼って光が入らないようにしておきます。
人間が直接紫外線ランプを見ると危険なので、キチンとふたを閉めて密閉して使用します。


こちらは、ロボライトとバキュームクランプ
感光基板にアートワークを焼き付ける時、フィルムと基板を密着させて動かないようにするため、内部を負圧にして密封固定する布団圧縮袋みたいな機械です。

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・サンハヤト製 バキュームクランプ → 去年捨てました ・サンハヤト製 ロボライト → 去年捨てました

その上を自分自身で動いて往復して、アートワークフィルムと基板に紫外線を当てるライト。日光でやるよりも安定した性能を出せます。両面基板を作る場合には表裏の焼き付け時間・量を同じにしないといけないので(日々強さが違う)日光では辛い・・・・

 時系列がいい加減なので、この当時に全ての機械をこの時点で持っていたか不明です。 


結局、高校在学中では完成せず、彼と一緒に同じ学校の電子工学科に進学。更なる小型化要求が・・・・
時代が変わり、Z80マイクロプロセッサも組み込み用途に成り下がり小型の周辺回路集積チップ(TLCS-Z80シリーズ)が登場し、学生が趣味で購入できるほどに価格が下がってきた時・・・・。

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・東芝 TLCS-Z80シリーズ ピン間隔は0.65mm ・大きさ比較 大きなチップ(Z80-CPU)の足は2.54mm間隔

このチップを使いたいがために、いきなり学生の分際で大企業・東芝に電話してデータシートを送ってもらったり・・・・(東芝さん、やさしい~)
月刊の技術雑誌『トランジスタ技術』には、資料請求システムがあり、プロの設計者が欲しい資料を添付のハガキに書いて送ると、資料を届けてくれる仕組みがあるのですが、どうしても欲しい資料がありコレを利用。学生なので会社名とか適当に書いて出したら、資料は来たけど後から営業の追い込みがしっかりと付いてきて・・・・
いきなり営業が自宅を訪問してきました!

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・東芝から送ってもらった電話帳みたいな本! ・雑誌 トランジスタ技術

それ以後、トランジスタ技術側に苦情が行ったのか、資料請求ハガキに『学生』という区分が追加されたというオチまで・・・・。


今度は、学校にCADやプロッタにEWS(エンジニアリング・ワークステーション 今は無きアポロ社製domain!)があり、ココでも頼み込んで使わせてもらいます!
と、がんばって設計はしてみたものの、ピン配置が細かすぎて素人の工作では無理!と、ついに諦める事になってしまいました。


とはいえ、いい勉強をしたものです

 このシリーズの日記で登場する出来事はすべて事実なのですが、時系列の検証がいい加減です。その辺りは目をつぶってお楽しみくださいませ。
https://…/2011/01/20/ 電子少年 た~さまの自叙伝・第7回 ~コピープロテクトって面白い!~