社会科見学ショートツー・東京の生命線"武蔵水路"を見に行こう!

大都市・東京・・・・これだけ人が集中しているとライフラインの整備って大変!
電気やガスは近代になってからですが、水道は昔から必要とされていたインフラ。


昔は多摩川水系に水源を求め、"玉川上水"を作り水を江戸に引くことから始まり、近代では羽村取水堰から多摩湖・狭山湖と呼ばれる貯水池に水を貯めるスタイルに変化。
しかしそれでも水が足りず、多摩川水系の開発ももうこれ以上できないというところまで来て、水源を利根川に頼ることに。


ん・・・・利根川?
東京から遠く離れた利根川。ここから水を運ぶために作られたのが、利根川と荒川を結ぶ延長14.5kmの『武蔵水路』。
この水路で利根川の山奥に端を発する水を荒川に導水し、秋ヶ瀬取水堰から取水するという壮大な仕掛け

利根導水路(建設記録)
https://www.youtube.com/watch?v=hLLoRPApyyM&t=757s

以前、多摩湖~羽村取水堰までの水路は、地図では『東京水道』と記されていてその上を歩いて見学してきたなぁ。

https://…/2013/08/15/ 武蔵村山の軽便鉄道跡を歩こう

というわけで今日は、もう一つの首都圏の水を支える重要施設武蔵水路』の見学に行ってみましょう・・・・というのは無理やり後からこじつけた理由であって、本当は前日まで天気が悪いと言っていたのに当日晴れに変わったから、どこか近くで行き先を大急ぎで探したという訳です(笑)

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・関越道・東松山ICで降ります

関越道・東松山IC・・・・よく秩父方面に走りに行くときに使うのですが、今日はICを降りて山方面に向かうのではなく、川方面に向かいましょう。


そうそう、前知識として・・・・サイホン

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・川を超える水道管は、サイホンの原理により無動力通水

管内が液体で満たされている場合、液体をある地点から目的地まで、途中出発地点より高い地点を通って導く事ができます。水道の場合は浄水場からポンプで圧送しているのでそんな原理に関係なく高低差を乗り越えてしまいますが、無動力でも越えられる装置で、その理屈のことを"サイホンの原理"。大昔に中学ぐらいで習ったか?


水路が他の構造物を避ける必要がある場合、この原理を使用した『伏越』(ふせごし)と呼ぶ施設が作られるそうで、上の写真のサイホンとは全く逆の一度低い位置に落としてから引き上げる逆サイホン』。これだと始動の際にも真空ポンプとか動力源が不要で運用が可能。仕組み自体は江戸時代の建築物から存在したそうで、今日見学に行く武蔵水路でも伏越が多用されているとのこと。


しばらく平野の中を走る・・・・都内とは違い信号が殆どないので移動はスムーズ。そして『荒川』の河川名表示が現れたので、いよいよ目的地か?

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・この堤防が、荒川との区切りかな?

都会の感覚では堤防を超えればすぐ川なのでしょうが、ここは超大河川だと改めて認識する瞬間。


水の流れなど全く有りませぬ。

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・橋ははるか先

あれっ、ここはどうやら堤防みたいで橋はかなり先。そして写真では写っていませんがちょうどこの左側に川の本流と、武蔵水路の合流点があります。


ようやく糠田橋にかかったら、すぐ上流側に見えました。あれが武蔵水路の終点

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・県76 糠田橋からみた武蔵水路の終点

知識のない人が見たらただの川の合流?としか見えない景色ですが、これが首都東京の生命線の一つ
東京都水道と埼玉県水道分の合わせて毎秒50立方メートルという水量を利根川から荒川に導水していますが・・・・大きな自然の中で見ると大した量には見えない☆ 一応、荒川本流よりも武蔵水路からの流入水のほうが数倍も多いとのこと。

糠田樋管・糠田排水機場

武蔵水路の荒川堤防をぶち抜く部分にある『糠田樋管』(ひかん)と糠田排水機場。水路の一番下流の施設から見学開始。
樋管とは『堤防に設けられたトンネル』で、通常時はトンネルによる自然流下で水路の水を荒川の堤防内に流入させています。

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・糠田樋管(荒川堤防の外側)

それにしても設備がボロいなぁ・・・・武蔵水路自体の建設は1967年(昭和42年)完成なので相当古く、近年では地盤沈下や亀裂などが発生し、当初の毎秒50立方メートルの通水能力が保てなくなっており、大地震の際に壊れてしまう可能性があるなどライフラインとしては貧弱だということで、2015年度に改築工事が完了・・・・でもここ糠田樋管は対象外だったみたいね。
注目は、写真右のコンクリート製のオブジェ


荒川の水位が上がった場合・・・・自然流下では水が流し込めない。そこで常用樋管を閉じ、洪水時用樋管を開く。

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・荒川堤防から見た糠田排水機場

そして例のコンクリートオブジェは洪水時用樋管と通じており、いわば荒川の水位と連動する池。排水機場のポンプによりこの水位より高いところから注水することで、水は高いところから低いところに流れていくそう。
ポンプ場そのものは建物がものすごく綺麗になっているから、数年前に改築されたと思われます。


ちなみに、通常時の荒川はこちら・・・・

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・荒川堤防から見た、荒川堤防の内側(建屋は糠田樋管の内側ゲート操作室)

広大な川原が広がっています。


そして解説パネルにあった洪水時の写真・・・・

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・洪水時の荒川(白い建物は糠田樋管の内側ゲート操作室・改修前)

おいおぃ・・・・こりゃ~水を合流させるとか無茶だろ!
武蔵水路は東京へ水の供給・・・・だけでなくこういった事態のときに度々洪水に見舞われるこの付近の小河川は、大河川がああいう状態になると流れずにパンクしてしまうので、利根川からの取水を中止しかわりに小河川の水を武蔵水路に取り入れ、そしてこのポンプを使用して内水排除するという役目も持っているとのこと。


昔の人は考えることがすごい!

武蔵水路を遡る

もともとは逆台形の1連形状でしたが、それだとメンテナンスの際に水路全体を止水せねばならないため、2015年度の改修で長方形2連に改められたとのこと。


7.1m×2連、深さ2.3mということは、水は毎秒1.4mで流れる・・・・結構速いのね。

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・武蔵水路 所々にブイと救助ロープが垂れ下がる

こんなところに落ちたらアッという間に流されるので、救助用のブイロープが点在。そして子供が間違えて入り込まないように、フェンスで完全防御。


伏越逆サイホンなので地上からは何もわからないのが残念。元荒川と言う名の『河川改良で流れを変える前の荒川』が流れているので、それをくぐり抜けています。

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・武蔵水路・元荒川サイホン(吐口)

機構的にはなかなかのものだと思うけれど、コンクリートで作られてしまうとそれがいとも簡単に行われているように錯覚してしまう・・・・


元荒川とは基本的にサイホンで立体交差するのですが、洪水時用にわざわざ元荒川と武蔵水路をつなぐ水門が設けてあります。もちろん通常時は全閉

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・交差する川とは水門で接続

平時は穏やかですが、洪水時の荒れ狂う水はちょっと恐怖かも・・・・


この水路が延々14km・・・・8箇所のサイホン3箇所の水門、そして1件のラーショ

ラーメンショップ 樋ノ上店

なんてこったい! 武蔵水路をたどっていくと、絶対にパスすることか出来ない関所があるでは有りませんか!


店名も『樋ノ上店』と、武蔵水路を想像させる店名。

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・道路右側の柵の向こうが武蔵水路 そして左手には・・・・ラーメンショップ!

ちょうどお昼過ぎだしピットイン!
店内は、飲食が終わったドンブリがずら~! ランチタイムの波がちょうど去った後らしく、先客は1組だけという繁盛しているけれど並ばずに快適といういいとこ取り。


卓上の『生にんにく』やら『らージャン』の容器が『椿食堂管理(有)』となっているので、ここのラーショは本家系統だな。
オーダーは、ネギチャーシュー麺並盛り \850円。やっぱり田舎の方は価格がリーズナブルですね。

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・ネギチャーシュー麺(並) \850円 @ ラーショ 樋ノ上

おおっ、ネギが標準でもたっぷりで、刻みチャーシュー入り。見ただけでこれは美味いって!
スープの濃さも安定していて、間違いなし! ただチャーシューがホロホロ系だったのですが、ハード系が好きな私にとっては唯一の残念な点。


食後の缶コーヒー。いつもラーショで食事をすると売上貢献も兼ねて自販機で缶コーヒーを買うのですが・・・・

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・当たってしまった・・・・

大当たり。2本貰っちゃったよ。悪いことをしたなぁ(笑)

利根大堰

確か、小学校か中学校時代の社会科の授業で触れられていたような気がするわ・・・・


巨大な利根川を塞ぎ、写真手前側の須賀樋管に向かって導水する施設。取水口の幅は126m。

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・利根川の堤防の上から、利根大堰を望む。手前が取水口 須賀樋管

この堰ができる前まではいろいろな用水路が独自に取水していましたが、防災の面からもこの堰に統合するのが望ましかったのでしょう。
武蔵水路の他、農業用水やら地元行田市の水道用水など様々


航空写真が一番わかり易いわね。

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・国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスより引用

利根川から取水して、3つの用水に分離しているのがよくわかります。


利根川の堤防の上から、水路側を見てみると・・・・

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・広大な沈砂池と、分水施設

広大な沈砂池と、そして各水路に平等に水を分けるための施設。


肉眼だと施設の全体像と細かい部分を同時に見れるのですが、写真だと伝わらない・・・・広大な沈砂池の向こうに、分配する水量比に応じた幅になっていて、社会科見学用に各水路に名前まで掲げられている

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・沈砂池と、各水路への分配

埼玉用水は、この辺りの灌漑用。武蔵水路は東京都と埼玉県の都市水道。そして初めて聞く見沼代用水


なんだろう『代用水』って。コレがまた調べてみると面白い。大宮~浦和付近に広がる芝川をせき止めて『見沼』を作り、ココを水源にして灌漑に使っていたのですが人口が増えてそれでは足りなくなり、江戸時代の幕府の命を受けてココから取水して見沼まで導水したんですって。


見沼の水の代わりだから、『見沼代用水』。なるほどね。
あの辺り、新見沼大橋有料道路という名前で沼の名前が残り、窪地を橋で越えていたりしているのと繋がるわね。


この辺りはまた次回探索かな。ブラタモリっぽくなってきたな(爆)