愛車バイクの電気系統強化作戦!MOSFETレギュレータ購入

愛車のバイク、VFR750F(RC36)1990年発売のおじいちゃんバイク
この頃のバイクはヘッドライト常時点灯という法律の適用開始前なので、右ハンドルには合法的にヘッドライトスイッチが装着されています。
現在のヘッドライト常時点灯世代のバイクは発電機容量が強化されていますが、私の世代は逆に(相対的に)貧弱。あまり電気を使わない前提の設計になっています。


そしてこの間、冬の装備『グリップヒーター』を装着して近所を軽く試走した際に、アイドリング状態でヒーターを使っているとじわじわ電圧が下がっていく状態が観察されました。
どうやらグリップヒーター君は電気喰いのようです。


そんなとき、タイムリーにVFRclubのメーリングリストにて『現在車は高効率なMOSFETレギュレータ』を搭載している旨の情報が流れてきました。
さらなる情報を集めるために色々ググってみると、実験までしている方(バイク店)を発見。(おそらく電圧降下が少ないために)アイドリング状態とか発電電力が小さい領域でもしっかりバッテリーが充電できるようだし、その結果エンジン回転数が変化しても出力電圧が安定しているようです。


と言うわけでさっそく手配してみました。カワサキ純正部品を。

・カワサキ純正部品・・・・品番わかるのがこれしか無かったんです・・・・

カワサキの純正部品の手配なんて初めてかも!


箱を開けてみましょう。

・巨大なMOSFETレギュレータ

ものすごくデカく見えますが、一応ネジ穴はVFR750(RC36)純正と同じ幅


常にパニアケースの中に忍ばせてある、予備のVFR750(RC36)純正レギュレータと重ねてみるとよくわかります。
(ずーっとパニアの底に眠っていたので、ヒートシンクにカビが!)

・VFR750(RC36)純正レギュレータ

でもこのデカさなのでおそらく同じ場所には設置できず、どこか設置場所を作り出して設置することになりそうです。
発電機~レギュレータ~バッテリまでの配線は大きな電流が流れるため、特にコネクタ部分のわずかな抵抗値でも大きな発熱になってしまい、よく焦げて接触不良という故障につながります。(私のバイクも前回車検で焦げ始めを発見して、コネクタ部分を新しく作り直ししました。)
この配線もなるべくコネクタを廃止して太いケーブルでしっかり配線し直したいのです。


ところでレギュレータって、どんな仕組みなんだっけ? まずSCRレギュレータについてちょっと気になったので調べてみました。

(ここから先は、サービスマニュアルに記載のレギュレータ回路図から私自身が読みとったもので、正確性の保証はありません。逆に誤りが有ればご指摘いただければ幸甚です。)

ちなみにVFR750F(RC36)純正は三相ショートSCR(サイリスタ)式レギュレータ
発電機で発電した3相交流電力を、全波整流して・・・・なんとそのままバッテリー側に出力しちゃいます。

・SCRレギュレータ回路概要

発電機からの交流電圧のうち1相はこんな感じ。(ドローイングソフトの制約で綺麗なサイン波が書けませんが、サイン波ということで見てください。)

・発電機からの発電電圧の波形

これを整流ダイオードを使って全波整流。電流の向きが一緒になります。

・整流ダイオードを使って全波整流

しかしこのままではバイク側負荷が一定なので、発電電力が大きくなると電圧も大きくなってしまいます


そんな時にサイリスタの登場。サイリスタは普段アノード~カソード間に導通は無いのですが、ゲート電流を一瞬でも加えるとアノード~カソード間導通させることができるスイッチのようなものと見なすことができます。
しかもサイリスタは、一度導通させると、アノード~カソード間の通過電流がゼロになるまで導通しっぱなし・・・・。通過電流がゼロになると、再びアノード~カソード間が非導通状態になります。
発電機からの電流は交流なので半周期が過ぎると必ず電流ゼロ点があり、ここでサイリスタは非導通状態に自動的に戻る・・・・


レギュレータ制御回路はバッテリへの出力電圧を監視していて、制御電圧(レギュレータから出力する直流電圧の最大値。)に達成した瞬間にサイリスタをON(アノード~カソード間導通)させ一種のショート状態にしてしまい、発電機からの電力を無効にしてしまうのです。(このときにサイリスタに電流が流れるので発熱しますが、サイリスタの電圧降下分のみの発熱で済みます。決して全電力を消化しているわけではないです。)

・赤い点線が制御電圧とすれば・・・・ ・制御電圧を超えた瞬間にサイリスタON

この波形を見ると・・・・、発電能力の半分以上は使われていないってことなんですね・・・・


これを3相、全波整流して(特にギアなどで減速していなければ)エンジン1回転に対して6回実施する事で、制御電圧を超えない直流電力に変換すると言う仕組みです。(直流にはほど遠く、パルス充電か?)

追記:コイルは何個も付いているので1回転で6回どころではなく、もっと周波数が高くなります。

・3相全てで電圧制御します ・バッテリがつながるとこんな感じ

そんなサイリスタ。大電力に対応でき、高速なスイッチング性能を持っている特徴から、二輪用レギュレータに用いられていたのでしょう。
近年のパワーエレクトロニクスの進化のおかげか、サイリスタからFETに半導体素子を変更して(回路ブロック構成が同じだと仮定すれば)サイリスタと異なっていつでも負荷電流をON/OFFできるし、PWMのような動作で定電圧電源のような動作をさせているのではないのでしょうか。
低いON抵抗でもあるため損失が少なく高効率と言っているのだと、検証も何もしないで推測でそう思っています。(そのうち気が向いたら実験するかも。)


ふ~、長くなってしまいましたが今日の日記はまだMOSFETレギュレータを買ったという事だけ。
まだまだ先は長いです。

https://…/2014/03/02/ MOSFETレギュレータ購入のお話の続き