宇高国道フェリーの操船

昨日乗船した、高松港-宇野港間を結ぶ『宇高国道フェリー』。日記にも書いてありますが"東京湾フェリーよりも面白い"のでした。


そのココロは・・・・
東京湾フェリーは、神奈川県・久里浜港を出発するとほぼ一直線で千葉県・金谷港に向かうだけです。
しかし、宇高国道フェリー。地図を眺めても島々が邪魔をして直線航行はできませんね。当然曲がりながら進むわけですが・・・・ずいぶん遠回りしている気がします・・・・。

f:id:vfr750f2:20110225095305g:plain f:id:vfr750f2:20110225095307g:plain
・東京湾フェリーの航路(概略) ・宇高国道フェリーの航路(概略)

実は、地図では読みとれないけど浅瀬や障害物が沢山!! 瀬戸内海の航行は気を使うそうなんです。
その航行をサポートする航路標識(灯台や灯浮標、灯柱)もたくさんあって、それらをピタッとマークするように操船していました。そんな背景を観察していると面白いんです。


そこで素人視線の操船レポートをお送りしてみましょう。

今日の日記はシロウトが素人の目線で感じたことを書いているので、事実認識および記述が正しくない可能性が十分に考えられます。あくまで日記ということでお楽しみ下さい。

まずは、高松港を離岸、防波堤を抜けようとすると・・・・ちょうど入港してくる船が!

f:id:vfr750f2:20110225095309g:plain f:id:vfr750f2:20110225095308j:plain
・離岸して向きを180度変えて、北に向けて出航 ・ちょうど入港して来た船を左舷にみて通航

船は右側通航と決まっていて、相手を左舷に見てサクッとかわします。
すると続いて左舷前方から入港してくるフェリー接近! 自船も防波堤を越えると左に転針するので曲がるタイミングが難しいぞ!

f:id:vfr750f2:20110227092303j:plain
・続いてフェリーが入港してきます 防波堤の先端の赤い塔は灯台(高松港玉藻防波堤灯台)

バイクでコーナーを曲がる時をイメージして・・・・右側通航ということは、相手船はイン側をついてくるので、コチラは少しアウト側に膨らんでコーナリングが必要です。


コチラがインに寄り過ぎて正面衝突・・・・にならないように、コーナーの中央には、こんな灯浮標(法律で定められたブイ/航路標識)が浮かんでいます。

f:id:vfr750f2:20110225095312g:plain f:id:vfr750f2:20110225095311j:plain
・高松港の出口に浮かぶ灯浮標 ・高松港灯浮標(安全水域標識)

赤と白のシマシマ模様の灯浮標、トップマークは『赤いマル』。これは安全な航路を示すとともに、その航路の中心であることも示しています。
道路で言えばセンターライン。したがって、相手船はこれの内側を。当船は当然コレを左舷に見るように外側・右側を通過。対向船を確実にやり過ごします。


ちなみに、港の防波堤の先端に立っている赤い灯台(高松港玉藻防波堤灯台)は、なんとガラス製で全体が赤く光るんですって! 高松のデートスポット!
』は水源(川の上流)に向かって『右舷標識』を示すもの。高松港に入港する船は、この赤い灯台が右舷に見えるように入港すれば安全なのです。


続いて、船をかわした後は島を避けなければなりません。女木島灯台を右舷に見ながら通過します。

f:id:vfr750f2:20110225095313g:plain f:id:vfr750f2:20110225095314j:plain
・高松港を出ると、西に転針 ・女木島灯台を右舷に見て通航

後は簡単かな・・・・と思えば、島のすぐ向こうはカマ瀬という浅瀬があるので通れない! 深さ2m~3mのところもあるそうです!!
海図で判っていても、目で見えないというのは判断が出来ないから怖いよ~~~ どうやって避けようか・・・・(?)

f:id:vfr750f2:20110225095315g:plain
・"カマ瀬"という名の浅瀬が存在しています!

そこで、目で見て判るように航路標識がサポートしてくれます。
こんど左舷に見えてきたのは、黄色い灯浮標

f:id:vfr750f2:20110225095316j:plain
・カマ瀬東ノ州灯浮標(東方位標識)

この黄色い灯浮標は、『東西南北4セット』が定められていて、色の塗り分けとトップマークによりそのどれかを識別できるようになっています。(もちろん夜間は光り方でわかります。)
写真のやつのトップマークは、"エレベーターを呼ぶ▲と▼ボタンみたいエレベーターのE東(EAST)"の強引な覚え方により、東方位標識

▲      ▼      ▼      ▲                           
▼      ▲      ▼      ▲      ▲      ■      ●      
東方位標識  西方位標識  南方位標識  北方位標識  右舷標識   左舷標識   安全水域標識 
エレベータ  ワイングラス 下は南    上は北                         

ここより東側は安全だけれど、その反対、西側は危険(浅瀬や障害物がある。)であることを示しています。


船はこの東側を、危険を示す灯浮標を左舷に見て通過するのです。

f:id:vfr750f2:20110225095317g:plain f:id:vfr750f2:20110225095318j:plain
・浅瀬が広がっています ・カマ瀬東ノ州灯浮標と中ノ州灯浮標

浅瀬の反対側には南方位標識(カマ瀬中ノ州灯浮標)がありますね~


じゃあ、ココを避けて一気に北上してしまえばよいのですが、そっちにも浅瀬があり・・・・
西に逸れて北西に針路をとると、今度は赤い灯浮標が現れます。

f:id:vfr750f2:20110223194805j:plain
・宇高東航路第二灯浮標(右舷標識)

』は水源に向かって右側の標識。しかしここは港ではないので水源ってどこ(?)(?)(?)(?) 宇高航路では例外的に『宇野港が水源』である事が定められているのです。
したがって『赤(右舷標識)』の標識が右側に見えると安全なのです。トップマークは『』。


この灯浮標にかなり近づいてから、北に転針します。これでようやく宇高東航路に入りました。大動脈『備讃瀬戸東航路』を横切ります。

f:id:vfr750f2:20110225095319g:plain
・第二灯浮標をクリアして、北進!

この先も、浅瀬を避けるためにココゾという最低限の場所には灯浮標が浮かんでいます。
オゾノ瀬を避けるための宇高東航路第三灯浮標は『緑色』、トップマークは『』。これは赤の反対側の『左舷標識』で、これを水源に向かって左側に見て通航すれば安全なのです。

f:id:vfr750f2:20110225095320j:plain
・宇高東航路第三灯浮標(左舷標識)

ココから先は、島々の間を抜けていく宇高東航路の難所『直島水道』。


おや!(?) 今度は左舷に緑色の灯浮標ではなく、灯標が現れます。

f:id:vfr750f2:20110225204027j:plain
・撮影が遅れて・・・・左舷後方です  俎石灯標(左舷標識)

しかし、その向こうには、赤い灯標!(?)


あれ、どうなっているの!(?)
緑の灯標は、航路の左端を示し、それを左舷に見て通過しているけれど、赤の灯標は航路の右端を示し・・・・(?)(?)(?)


よく見ると、赤い灯標は、真っ赤ではなく黒と赤のシマシマ・・・・!

f:id:vfr750f2:20110225204028j:plain
・赤と黒のシマシマは・・・・孤立障害標識!

これは、孤立障害を表す標識!
よく見ると岩場に建っています。緑の灯標はこの危険に近寄らないように航路の左端を知らせているのでしょう。そして灯浮標では位置が流れてしまうため、浅瀬ということもあり灯標にして確実に場所を固定していると思われます。

f:id:vfr750f2:20110225095323g:plain
・俎石灯標(左舷標識)と、帆掛石立標(孤立障害標識)

ここからは、狭い直島水道を通過。最小幅は約400m。ココは北側への一方通航規制があり、ドンピシャで真ん中を通り抜けます。怖い~


やがて見えてきた『なおしま』の文字の入った赤白シマシマ灯浮標

f:id:vfr750f2:20110225095324g:plain f:id:vfr750f2:20110225095322j:plain
・複雑に交差する航路の中心! ・直島北西方灯浮標(安全水域標識)

安全水域を示す標識をみると、やっぱり安心できます~。左舷に見てクリア!


そしてようやく宇野港。こんな操船を毎日毎日、昼も夜も、雨でも雪でもコナしているなんて・・・・スゴい!