会社の同じフロアに、車とバイクの違いはあれどホンダ車ユーザーである"くぼた"さんがいます。
もう、私のバイクVFR750F(RC36・1990年製)も18年だし、くぼたさんの車もほぼ同じ世代(20年目)なので、もうボチボチパーツ欠品が始まる微妙なお年頃なのです。
やはり長く乗りつづけるのであれば、今のうち(パーツが手に入るうち。)に補修をしておいたほうが良いという意見は一致しています。
そんな中、車の世界では発電機(オルタネーター)のブラシも要注意個所らしく、予防保守をしたり、もしくはリビルド品といったものを付け替えるという世界があるらしいのです。
しかし、長年バイクに乗っていても『セルモーターのブラシ交換』なら聞きますが、『発電機のブラシ交換』だなんて、旧車以外では聞いたことがありません。
うーむ、何か仕組みが違うのかな(?)ということで、調べてみました。
以下は、私なりに調べて理解・納得したものなので、内容の正確性は保証されません。もし、間違いがあれば御指摘いただけるとありがたいです。
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愛車のバイク、VFR750F(RC36)には、交流同期発電機を使用しています。
その中身は、回転子を界磁として永久磁石を使用しエンジンと一緒に回転させ、固定子を電機子としてここから電力を得ています。(発電機の回転子はエンジンのクランクシャフトに直結されフライホイールを兼ねており、乗用車のようなベルト駆動といった減速機構はありません。)
界磁が一定のため、発電電力はエンジンの回転数に比例します。
・RC36の発電機 | ・固定子は電機子 | ・回転子は界磁発生用の永久磁石兼用のフライホイール |
エンジンの回転数によって発電電力が変化するため、当然電圧も変化することになります。
そこで、発生した交流電力をダイオードを用いて直流に整流し、かつ出力電圧を一定値以下に制御するレギュレート・レクチファイヤという部品が設置されています。
この部品、半導体を使用して過大な電力を無効化(正確にはサイリスタ経由でショートさせてパイク側に電力供給されないようにしています。このときサイリスタに流れる電流により熱が発生します。)させるのです。ところが、半導体の宿命で温度が高いと寿命が短くなりいずれは壊れます。
そして、バイク程度の発電量であればそこ、シンプルな発電機と、レギュレート・レクチファイヤという構成でなんとか成立していると思われるのです。
実際、車の場合はバイクよりもはるかに大きい電力を使用する(エアコンやカーステ等)ため、発電機も巨大なものが必要となります。
ところが、その巨大な電力を全てレギュレーターで無効化するのは、バイクより大電力が扱える半導体部品が必要となり、一般にこれは非常に高価となりますし、わざわざ発電した電力を捨てるので効率的にもあんまりよろしくないと思われます。
そこで、車の場合は発電機からの発電量そのものを制御することで、必要な量のみ発電させる考え方を用いていると思われます。
車の発電機は回転子に永久磁石ではなく電磁石を使用することで、任意に界磁の強弱調節ができるようにして、発電量を制御することで、後段のレギュレーターの負担を低減させていると推定されます。また、永久磁石よりも磁力を強くすることができるので同一サイズであればより大きな電力を発電することもできます。
ところが・・・、電磁石ですから励磁電流を与えなければなりません。しかもそれは回転しています。
ケーブルで接続しようものならばものの数回転で絡んでしまい使用不能になるので、回転子の電気配線を固定してある何かに接続して回路を構成する必要があります。
この部分が『ブラシ』であって、回転子から外部の固定してあるどこかに強力に密着するように足を出しています。回転するにつれて摩擦で徐々に削れてくる消耗品であるためある期間ごとにメンテナンスが必要になってくるわけです。
近年では、交流発電機の界磁励磁電流に交流を用いたブラシレス型が登場しています。
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というわけで、私のバイクだと、発電機のブラシは心配しなくて良さそうです。
私なりに調べた用語集
用語 よみかた 解説 固定子 こていし 電動機(モーター)・発電機において、固定された電機子、または界磁のこと 回転子 かいてんし 電動機(モーター)・発電機において、回転する電機子、または界磁のこと 電機子 でんきし 発電機の場合、界磁との電磁誘導作用にて、起電力を発生させるコイルのこと 界磁 かいじ 発電機の場合、磁力を発生させる部材のこと。永久磁石や電磁石となる。 励磁 れいじ 磁気を帯びさせること。電磁石の場合は電流を流し込むことになります。 フライホイール ふらいほいーる 慣性の法則を利用して運動エネルギーを蓄えておく部品。重いほど慣性が強くなるため、ある程度の重量が必要。バイクのエンジンの1気筒が爆発し、次の気筒が爆発するまでの間の回転力を補う。