交通裁判

今日は、スピード違反でもらった赤キップの出頭のため、東京・立川市にある警視庁交通捜査課立川分室に向かった。
この施設、警視庁の交通違反関係の担当部門と簡易裁判所、検察庁が一つの建物に同居しているとっても合理的な施設ということが分かった。

・交通捜査課と検察庁 ・簡易裁判所 ・左側が警察と検察・奥が裁判所の建物

普段会社に行くのと同じ時間に家を出たので、交通捜査課に9時5分に着いた。辺りに人影が無く、建物敷地内に生物を認知できない。
私の想像では、もう少し私と同じ違反者が居ると思っていたのに……

右手に赤キップ、左手に携帯電話のカメラモード。完璧だ。『なんと言われようと写真に撮りまくるんだ。』と心に誓う。

建物に入る 09:05

さっそく交通捜査課の建物に入ると、わずか入って1mのところに受付があって、赤キップを提出するようになっている。
どうやら赤キップの処理に特化されたこの施設、これでもかと案内が出ている。窓口の特大ピーポ君のぬいぐるみがかわいい♪

・受付

写真の左側にプラケースが置いてあり、ここに赤キップを入れるようになっているのだが当然空っぽ。あれっ、私しか居ないのか(?)
警察官に第一待合室で待っていてください』と指示される。

第一待合室 09:06

受付からちょっと奥に入ったところにある『第一待合室』には……誰も居ない。ここで、警察からの取調べの順番を待つことになります。
コンクリートで出来た建物がとても無機質で冷たく感じる。もう少し暖かく見せる塗装とかしてもいいのにね。

(左)・第一待合室の看板、ドラマに出てきそうな冷たさ
(中)・空っぽの待合室。こんなに広く必要なのか(?)
(右)・交通事件処理案内 今日の手続きの流れが説明してあった

警察からの取調べ 09:08

まるで病院のように、インターホンで『××さ~ん。調べ室にどうぞ~』と放送されたので、さっそく部屋に入る。
今は私一人しかいないので気にならないけど、大勢いて名前呼ばれるのはちょっとはずかしいかも……

そして、扉の向こうが怖い。他の人をインターネットで調べたら、ここはドラマに出てくるような取調室で、机が一つで奥のイスに座らされて…
などなど、結構なことが書いてあったが、さて。

(左)・第一調室の看板 扉の向こうはドキドキか(?)
(右)・第一調室 4つのカウンター形式で机の向こうには警察官。

ここで、本人の確認と事実関係の確認をさせられる。取り上げられていた免許証の返却もされた。

警察官 あぁっ、電話を頂いた方ですよね。
そうです。』(わざわざ覚えてくれていたなんて!)
警察官 これは取り調べです。本人がしゃべりたくないと思ったことはしゃべる必要はありません。裁判では証拠として使われることがあります。
(おおっ、ドラマでお決まりの文句だ!)
警察官 あなたは、4月10日の13時31分に八王子パイパスで法定速度60km/hのところを109km/hで49km/hのスピード違反で間違いないですね。
はい。間違いありませんよ。
警察官 まぁ、運が悪いとは思わないでね。普通、警察官は調整とかはしないとは思うけど、もう1km/hスピードが速かったら大変だったんだよ~。
そうですね。12点ですものね。
警察官 ずーっとゴールド免許だったし、日頃から安全に気を配っているからこれで済んだんだよ。きっと。
そんなものですかね。


なんのこっちゃ。心のケアのつもりですかね(?)
取調べは2~3分で終了し、次は2階の待合室で待つことに。検察官が調書を作ります。

第二待合室 09:11

また待合室。相変わらず冷たい色をしている。そして、待合室には『あなたのためです。』という文が掲示されている。

(左)・第二待合室 相変わらず誰もいません
(右)・第二待合室に掲示の『あなたのためです。』文
交通違反で出頭している皆様へ
あなたのために申し上げます。
  • あなたは、他人の名前を使って処罰を免れようとしていませんか。
  • 他人を身代りとして処罰を受けようとしていませんか。
  • いずれの場合も、あとでこれらが判明すると重い罪で処罰されます。
  • このような方は、すぐに申し出てください。

うーん。重いなぁ。気が重くなる。

検察官による調査 09:13

またしても、インターホンにて『××さ~ん。調べ室にどうぞ~』と放送されたので、さっそく部屋に入る。私しか居ないのに~プンプン!

(左)・検察官調室の看板
(中)・検察官調室の入り口の扉
(右)・検察官調室の中

またしても、気持ちも重いのに、物理的に重そうな鉄の扉が立ちはだかる。意を決して扉を開けると、そこはまたしてもカウンターが4つで、4人同時に調書作成が出来るようになっている。
一番左の検察官に再度名前を呼ばれたので、面と向かってイスに座る。さすがにこの瞬間の写真は取れなかった。

ここでは、警察から違反の事実を取り調べた書類を裁判所に提出する調書として作成するらしい。
もし証拠不十分で起訴できないと検察官が判断すれば、不起訴で無罪になるかもしれないし、調書の内容で裁判による罰金の金額が決まるので心象を良くしておかないとね。
またしても、本人の確認のあと…

検察官 あなたは、正式な裁判を望みますか(?) 違反の事実を認め、相違ないということであれば略式裁判を希望することも出来ます。この場合は裁判官と会うことなく、この書類だけで即日のうちに刑が確定されます。


ここで、正式な裁判を要求すれば、裁判を受けることが出来る。
が、裁判を受けるためには膨大に書類が必要になり、もちろん警察も一人一人にそんな書類は作っていないので後日『この間の違反について取調べをするから出頭しろ』ということになり、その後裁判ということになる。要するに面倒くさいのである。
交通裁判は弁護士が不要なので、不服があれば裁判官の前で戦えばよいのだが、そのつもりであれば違反切符に絶対にサインをしてはいけない。
サインはあくまで任意なのであるが、そのサイン欄にはもともとの印刷で小さく『私は上記違反の事実を認めます』とかかれている。
つまり、自白と同じなのだ。キップにサインして自白してしまっている以上、いまさら裁判を受けても証拠として採用され逃げるすべが無い。

違反の事実を認めます。略式でいいです。
検察官 わかりました。廊下をまっすぐ行ったところが裁判所です。そこが待合室になっていますから、そこで待っていてください。


どうやら、後は刑が確定するのを待つだけのようだ。

判決待ち 09:19

さてっと、廊下をまっすぐに行くと....

・裁判所控え室

おおーっ、あったあった。ここで待つわけか。ここには3~4人の人が待っている。どうやら時間がかかるようだ。


待つ。



……


………

とにかく待つ。

長いなぁ。

周り中白い壁で、小さな窓口があるだけ。白は落ち着く色なのか(?) 気味が悪いよ。

・裁判所窓口

ちなみに、スピード違反の罰金の相場はインターネットで調べたら6万円~8万円とのこと。違反の繰り返しの状況などとともに裁判官が調書を見て決めることになる。
私の場合は上限ギリギリの49km/h超過なので、高額判決が出てもおかしくなさそうだ。
私は8万円と予想している。これより低ければラッキーということだ。


警察や検察庁、裁判所の各セクションはエアーシューターで結ばれている。控え室から不自然でRの緩い配管が裁判所の中に続いている。
辺りはシーンと静まり返っているので、時折り『ゴゴゴゴーッ、ゴトン』という音が聞こえる。ひょっとして私の書類か(?)


……


やがて、窓口に女性が現れ、『○○さん、△△さん、××さん、略式命令が出ましたので取りに来てください。確認のため氏名と生年月日を申告してください。』と。
三人の男たちが窓口に向かう。私は写真をとりながらなので最後にゆっくりと....その際、前の人たちの会話を聞いていたので....

××です。昭和42年(←前に人に釣られたので間違えている)×月×日です。
女性 えっ(?)……………
女性 えっ!
女性
あっ、間違えました。昭和××年×月×日です。
女性 ホッ、そうですよね。これをもって罰金納付窓口に行ってください。


さて、判決は………

略式命令:即決裁判結果通知書
  • 事件名 道路交通法違反
  • 被告人の氏名、年齢、職業、住居、本籍 表記(1)のとおり
  • 裁判
  1. 主文 被告人を罰金 70,000円に処する。これを完納することが出来ないときは金5,000円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。第1項の金額を仮に納付することを命ずる。
  2. 罪となるべき事実 被告人にかかる表記(2)(3)(4)(5)記載の事実
  3. 適用法令 表記(5)記載の条罰。刑法18条。刑訴法348条
  • 裁判をした裁判所及び年月日 立川簡易裁判所 平成17年4月21日
  • 裁判官の官、氏名 同庁 簡易裁判所判事 斎藤 修
・略式命令

罰金納付 09:58

さて、また元の警察の建物に戻り、罰金支払の窓口に行く。

・罰金窓口 軽微な違反時の『反則金』ではなく、『罰金』。
 罪を犯した者がペナルティーとして国に徴収される金という意味。重さが違うのだ。

ここは事務処理だけなので、窓口の対応もあっさりしている。

窓口 こちらにどうぞ~。書類(略式命令)を見せてください。


そして、その場で7万円を支払う。窓口にはこの周辺のキャッシュディスペンサーの地図まで掲示されている。きっと手持ちが足りないひとが居るんだろうな。
"罰金"なので、自分が借金をしてでも国に治めなければならないのだ。最悪は一日¥5,000円で働いて返すことも出来るが…



こうして、約1時間に濃縮されて日本国の事件処理の方法を体験できた。結構面白かったと思っている。

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